【新聞記事】女性管理職比率3.2%/男性育休取得率22%/本社人材採用調査/非財務情報開示で各社取り組み
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日刊建設通信新聞社が大手・準大手ゼネコン、建築設計事務所、建設コンサルタント、道路舗装会社、設備工事会社、メーカーの計132社を対象に実施した「人材採用調査」(回答122社)によると、2022年1月1日時点の全社平均の女性管理職比率は3.2%、20年度の男性育休取得率は平均17.3%、22年1月1日時点の21年度男性育休取得率は22.0%となった。厚生労働省の20年度雇用均等基本調査の結果と比べると、女性管理職比率は全産業を下回ったものの、男性育休取得率は上回った。世界的に企業の非財務情報に対する関心が高まる中で、女性を含む多様な人材が活躍しやすい環境づくりが求められている。
調査票は、1月上旬から対象企業に順次送付し、「女性活躍に向けた取り組み」の質問項目に、ゼネコン31社、建築設計18社、コンサル18社、道路舗装11社、設備28社、メーカー16社の計122社が回答した。
SDGs(持続可能な開発目標)の普及に伴い、企業の直接的な業績面以外の企業活動が投資市場で重要性を増し、非財務情報の開示を義務付けるルールづくりも進んでいる。この流れの中で、女性管理職比率や男性の育児休業取得率に対する関心も高まっている。
調査の結果、22年1月1日時点の女性管理職比率は建築設計の平均5.9%が最も高く、ゼネコンは2.1%、道路舗装は0.2%と厳しい数値となった。ゼネコンの大林組(9.6%)、建築設計の日総建(28.0%)、コンサルのいであ(8.3%)、道路舗装の大成ロテック(3.7%)、設備のミライト(13.2%)、メーカーのTOTO(14.0%)が各業種で最も高かった。ただ、厚生労働省の20年度雇用均等基本調査では、企業規模30人以上における課長相当職以上の女性管理職割合は9.7%で、各業種とも大きく下回っている。政府の第5次男女共同参画基本計画では、「20年代の可能な限り早期に指導的地位に占める女性の割合を30%程度」とする目標を示しており、建設産業界でのさらなる取り組みが不可欠だ。
女性が働き続けやすい環境づくりに不可欠な男性の育休取得率は、20年度はコンサルの平均34.2%、21年度(22年1月1日時点)はメーカーの38.3%がそれぞれ最も高くなった。ゼネコンは20年度が22.6%、21年度が29.6%と取得率が向上している。戸田建設が20、21年度ともに100%、大成建設が20年度100%、21年度96.1%とそれぞれ突出して高い取得率を示した。ほかの業種でも、取得率の高い企業と低い企業の差が大きくなっている。道路舗装は、女性管理職比率と同様、厳しい結果となった。
厚労省の雇用均等基本調査では18年10月1日から19年9月30日までに配偶者が出産した男性で育児休業を開始した人の割合が12.65%で、道路舗装を除く5業種が厚労省調査の結果を上回った。ただ、育休取得日数など、取得率だけでは測れない、実態として男性が日常的に育児に参加して女性が働き続けやすくなる制度・仕組みの整備が各企業に期待されている。