【新聞記事】利水ダム/洪水調節機能を強化/AIで流入量予測
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いであが、農業用水などに使われる利水ダムを対象に、水害時に水を放流する「洪水調節機能」の強化に向けた取り組みを加速している。本年度からダムに設置する放水設備の作動方法などを盛り込んだ操作規定書の作成業務を複数件受託。降雨量やダムへの流入量を人工知能(AI)で把握する予測技術の開発にも本腰を入れて臨む。激甚災害が頻発する中、ダム流域で暮らす住民の安全確保に貢献する。
農業や工業用水、水力発電で利用される利水ダムは洪水調節機能を持っていない。2018年7月豪雨や19年秋に東日本を襲った台風19号など年々、風水害は激甚化している。同年11月には、内閣官房が洪水機能調節機能強化に向けた検討会議を設置。全国に620カ所ある利水ダムの機能を高め、災害時に放水可能な水量を指す洪水調節容量を6割(91億立方メートル)に倍増する計画を打ち出した。
国の動向を踏まえ、いであは農業用に利用されているダムを対象に洪水調節機能の強化に向けた提案を推進。国土交通省が20年4月に策定した「事前放流ガイドライン」に基づき、事前放流の基準や放水設備の操作方法といったコンサル業務を農林水産省から複数件受託している。ダム所有者に対して最適な運用方法を提案している。
今後、同社はAIのディープラーニング(深層学習)を利用した予測技術の確立も狙う。降雨量をベースにダムへの流入量を割り出し、放水設備が効率的に稼働可能かも探る方針だ。