【新聞記事】ウイルス除去システム製品化/生命科学分野の市場創生
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いであは、生命科学分野での新規の市場創生・事業開拓を加速する。特に新型コロナウイルス感染症対策では、2020年5月に衛生検査所として登録した環境創造研究所(静岡県焼津市)でのPCR検査実施と合わせ、ウイルスを除去するシステムの製品化に向けた研究開発を進めている。25日に開いた20年12月期決算説明会で田畑日出男会長は「21年内にはウイルスを無害化するシステムを市場投入できるのではないか」との見通しを明らかにした。
同社は、食品・生命科学研究所(大阪市)と環境創造研究所を衛生検査所として登録し、新型コロナのPCR検査体制を整備。医療機関と連携してこれまでに1100人を超える検査を実施し、社会的な要請に応えるとともに、社員の健康や安全を確保して事業活動の継続に役立てている。
一方、環境創造研究所では、ダイオキシン類など人の健康に影響を及ぼす可能性のある化学物質の解析・評価や分解除去装置の研究開発にも取り組んでいる。
ライフケア事業部長も兼ねる伊藤光明副社長は、特にプラズマ触媒技術に着目。「ウイルス対策にも応用できるのではないか」として製品化を進めている。新型コロナなどのウイルスに限らず、「細菌類やカビ類、さらに有害な化学物質の除去や消臭などにも有効」とし、用途に合わせて活用できるシステムの提供を想定している。順調にいけば今後「半年をめどに製品化にこぎつけ、来冬までの市場投入を目指す」考え。
環境創造研究所には、国内最高レベルの環境DNA分析を目指して、DNA分析の専用実験室を増設するほか、生命科学分野の事業開拓に向け、幅広い技術開発に対応した新しい研究棟も22年度をめどに建設する計画だ。衛生検査所の登録はコロナ禍終息後も人の生体試料を扱う上で大きな強みになるとし、新たな市場創生の軸とする。
現行の第4次中期経営計画最終年となる21年12月期は、受注高と売上高、営業・経常利益が過去最高となった前期を上回る増収増益を見込み、4月以降に次期中計の策定に向けたプロジェクトチームを立ち上げて議論を開始する。