【新聞記事】港湾施設補修設計を効率化/3Dスキャナー駆使
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いであが、3Dレーザースキャナーを駆使して老朽化する港湾施設の補修設計業務を効率化する支援技術を開発した。水陸両部を計測する3種類のレーザースキャナーなどを活用。経年変化で岸壁面が押し出される「はらみだし」や岸壁を支持する矢板の腐食状況を3Dデータで取得できる。視認性の低い水中を計測する潜水作業も不要だ。老朽化する岸壁の維持管理業務で積極的に活用する考え。
支援技術は岸壁に生じるはらみだしや矢板の腐食、積み荷などを仮置きするエプロン部の沈下を3Dモデルで可視化する。作業員が陸上からレーザースキャナーで岸壁法線とエプロン部を計測。水中は構造物に音響ビームを照射し、跳ね返り具合を点群データとして取得する。透明度が低く、目視で困難な水中の構造物を立体的に捕捉する。
気中部(水面上部)は、路面性状を可視化するモバイル・マッピング・システム(MMS)に利用される3Dスキャナーで補う。気中部は水、陸いずれの3Dスキャナーが使用できないという課題をカバー。気中と水中の両部を同時に計測し、作業効率のアップにつなげる。陸上と気中、水中各部の計測データをベースに3Dモデルを仕上げ、老朽箇所を割り出す。
同社は、国土交通省関東地方整備局発注の補修設計業務に支援技術を適用。各種スキャナーを使って3Dモデルを構築した。3Dモデルから、矢板を安定させるアンカー鋼材(控え工)や矢板とアンカー鋼材を連結する部材(タイ材)の健全性を確認した。
供用中の岸壁は、限られた時間で効率的な調査手法が求められている。大規模な掘削調査の回避を要望する発注機関も少なからずあるという。国内に多く存在する岸壁の調査・設計を効率化する目的で、同社は開発した支援技術を発注業務に積極展開する方針だ。