【新聞記事】RSO、第2回WEBフォーラム開催/いであ「YOUZAN」、港湾空港DX
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NPOリサイクルソリューション(RSO、山縣宣彦会長)は9月29日、第2回WEBフォーラムを開催した。当日はフォーラムに先立って第1回登録部会も開かれ、いであ(株)から登録申請が出ていた「水中次世代調査モビリティホバリング型AUV『YOUZAN(ようざん)』」が登録承認され、フォーラムにおいてその技術も紹介された。
RSOの第2回WEBフォーラムでは上記の「YOUZAN」開発にあたったいであ(株)環境調査事業本部執行役員の峯岸宣遠氏、(一財)港湾空港総合技術センター(SCOPE)業務執行理事の傍士清志氏が、「港湾空港事業とクラウド~DX時代のSCOPE業務の方向性~」と題して講演した。会場出席約20名と合わせ概ね70名の参加があった。
フォーラム開催にあたって山縣会長は、「先ほど登録部会が開かれ技術開発研究部門の第1号として、いであ(株)のホバリング型AUV『YOUZAN』」が認定された。先進的で意欲的な開発であり、国産技術であることもすばらしい。港湾社会の新しい技術として新たな展開に期待している。RSOの活動は港湾社会に新しいうねりを興そうという旗印を掲げ、アートによるみなと町づくり、臨海コンビナートの再生、の2テーマを掲げ昨年度から取組んでいる。アートによるみなと町づくりでは昨年度、瀬戸内(高松港)のアートについて研究し、今年度は十和田市における取組について研究している。十和田市アートでは、運営する側からの活動について課題を整理し提言したいと考えている。またコンビ―ナートの再生は、昨年度は川崎市の事例について講演会を通じて情報収集し研究した。カーボンニュートラル(CN)については政府から具体的な目標が示されたことでもあり、このタイミングを捉えてコンビナートをどう再生していくのかについて皆様と一緒に考え、更に深化させていきたい」、と挨拶した。
講演会で、いであ(株)峯岸氏はホバリング型AUV「YOUZAN」について紹介。YOUZANは東京大学生産技術研究所、九州工業大学、及び海上技術安全研究所より同社が技術移転を受けて実用化したAUVの民間商用化第1号。形状は長さ1.3メートル×高さ0.77メートル×幅0.7メートルで、重量275キログラム、巡航速度は0.2~0.3メートル/sで、最大潜航深度は水深2000メートル、最大8時間の潜航作業が可能などの能力を備えている。4Kビデオカメラ、スチルカメラ、水中測位、音響通信装置などを備え、水中で自立して様々な調査・観測が可能になっている。
同機は昨年、NHKの現地取材要請に応じて、オーストラリア南東海域(水深900メートル)海底状況の詳細撮影による深海底の生物群集、生息環境の撮影・計測などを実施し成果を上げた。今後の展望として活用が期待される分野としては、海洋環境、海洋再生エネルギー、海洋資源開発、水産分野などを想定している。
またSCOPE業務執行理事の傍士氏は、DX時代に対応した港湾空港事業の今後の動きとして、SCOPEが取組んでいる研究業務の概要を説明した。(1)DXとは何か、(2)クラウドサービス、(3)クラウドに対する政府の方針、(4)港湾空港分野のDXとクラウド、の各事項について解説し、今後、港湾空港分野におけるデジタル分野でビジネスがどう変化していくのかといった視点で話を進めた。
SCOPEでは国土交通省港湾局と連携し、港湾インフラ分野におけるサイバーポートの運用に向けたシステム開発を進めている。
同システムでは港湾施設を一元的に管理することにより、各部門における同一情報の入力を省力化し更新性を高めるとともに、遠隔での技術支援など、災害時の迅速な普及にも寄与できる。更には政策の企画立案や民間の技術開発の促進にも繋がるものと見られている。国土交通省では22年度にテスト稼働を開始し、23年度以降に重要港湾以上に拡大していく予定で、SCOPEではこうした取組をサポートしている。