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2019年 ニュースリリース

 サービス・技術 (西日本新聞朝刊 18面)

海岸清掃に助っ人ロボ!? 宗像市大島 九工大などが実証実験

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世界遺産「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」の一つ、宗像市大島の沖津宮遥拝所。玄界灘を望む美しい海岸線が広がるが、その景観を損ねているのが海から漂着する大量のごみだ。現在、回収や運搬は全て人力に頼っているが、将来、ロボットが頼もしい「助っ人」になるかもしれない。開発が進む「ビーチクリーンロボ」の実証実験に同行し、実力を確かめてきた。(床波昌雄)

実験が行われた9月下旬、大島の海岸には海流に乗ってたくさんの漁網や発泡スチロール、ペットボトル、空き缶などが打ち寄せられていた。

漁網やロープは重たく、発泡スチロールはかさばる。運搬は重労働で、定期的にごみ回収作業を行うボランティアの大きな負担となっている。そこで期待されているのが、海岸を走行してごみを運ぶロボットだ。

ビーチクリーンロボの開発に取り組んでいるのは、九州大大学院工学研究院や九州工業大、市民団体「宗像の環境を考える会」などでつくる一般社団法人BC-ROBOP海岸工学会。

今回使われたのは、九工大で情報工学を専攻する富永歩さん(27)が手掛けた四輪ロボット。屋外で活動するフィールドロボットを改良しており、ガソリンエンジンで駆動する。幅0.9メートル、高さ1.2メートル、長さ1.4メートル、重量約200キロ。後ろのそりに載せて約15キロのごみの運搬が可能という。実験でも同程度の重量のごみを積んだが、問題なく走行できた。

現在は無線で操縦しているが、前面にはカメラが付いており、いずれは自立走行のほか、前を歩く人の後を自動で追尾する機能付加を目指す。実験ではカメラを使い地形データを収集。どの程度の段差を乗り越えられるかも調べた。今のところ、砂浜や段差の少ない岩場であれば動けるが、岩礁など不整地での走行は困難なようだ。

実用化には、やはり起伏に富んだ地形での走行性能向上は欠かせない。富永さんは「現在は二輪駆動だが、四輪駆動にするか全くアプローチを変えて多足歩行にするかも考えていきたい」と話す。運搬能力も「100キロ以上」が目標だ。

大型ドローンを使ったごみの運搬実験もあった。建設環境コンサルタント業「いであ」(本社・東京)が開発した災害調査用ドローンは飛行時間が約50分と長く、約16キロの運搬能力を持つ。将来は回収の難しい岩場や瀬などからごみを運び出して船に運ぶほか、海岸上空を飛行してごみが集積していないか監視することを想定している。

実験に立ち会った九大大学院の清野聡子准教授(生態工学)は「海岸清掃の一番のネックは、回収したごみを長距離歩いて運搬すること。岩場などでけがをすることも多い」と指摘。その上で、「ロボットやドローンで運搬できるようになれば、労力が相当軽減できる」と期待する。

越えなければならない壁はまだあるが、開発は着実に進んでいる。世界に誇れる景観を守るため活躍するロボットの姿を見る日も、そう遠くなさそうだ。

〔写真:PDF参照〕
上:遠隔操縦で海岸を移動するビーチクリーンロボ、下:ごみ運搬実験に挑む大型ドローン

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