微量有機化学物質濃縮装置(MEWS-2100) 水中の超微量有機化学物質を精度高く捕集
- 化学分析・リスク評価
0
これらのような種々の問題を解決するため、誰でも正確に自動で水道水や環境水等の水試料を現場で多量濃縮でき、水に含まれる微量有機化学物質を濃縮・捕集する「微量有機化学物質濃縮装置」を開発しました。
ダイオキシン類、PCB、農薬等の一部の化合物は、微量で発ガン性や生物のホルモンかく乱作用があることが疑われています。各種環境水中のこれらの濃度を調査することは、化学物質の環境動態の解明やヒトを含めた生物へのリスク評価に大変重要で、そのためには超微量分析が不可欠となってきます。
超微量分析は、コンタミネーションの防止や高分解能ガスクロマトグラフ質量分析計(HRGC/HRMS)の感度管理を行うなど、厳しい精度管理下において行われます。しかし、分析前段の種々の作業状態により、その結果は大きく変わってしまいます。当社では、超微量分析にともなう精度管理は、サンプリング段階から必要であると考え、分析精度向上について取り組んでいます。
水環境中のダイオキシン類等の化合物濃度は通常非常に低く、精度良く定量するためには多量の試料水(数百~2,000L)が必要となる場合があります。従来のような液/液抽出などの方法では、これだけの量の試料を扱うことは現実的に不可能で、下記のような問題点もありました。
- 従来の方法である20~30Lの試料による液/液抽出の限界
- 20~30Lの試料では定量下限値が環境評価に十分でない
- 最大見積もり濃度の過大評価の可能性がある
- 従来の方法で試料サイズを大きくすると…
- 数百L以上を扱うことは、現実的に不可能である
- サンプリングや液/液抽出等で汚染の可能性が大きい
- 分析時に試薬使用量増加にともなう汚染レベルの上昇や環境負荷が増大する
これらのような種々の問題を解決するため、誰でも正確に自動で水道水や環境水等の水試料を現場で多量濃縮でき、水に含まれる微量有機化学物質を濃縮・捕集する「微量有機化学物質濃縮装置」を開発しました。
- GFFハウジングの前に空気除去チャンバーを装着しています。試料中に空気が混入すると、空気除去チャンバー内の液面が低下するため、水位レベルセンサが液面を感知し、排気バルブを解放して空気を除去します。
- PUFPハウジングの後ろにバックアップとして、さらにもう一つのPUFPハウジングを設置しています。
- 装置は密閉系となっているため、試料採取中の汚染がありません。
- 各種バルブ、流速計・流量計は内蔵されたコンピューターによって制御可能で、たとえば1.1L/分で10時間、1.5L/分で1,000Lなど試料採取条件をあらかじめセットすることが可能です。
- サンプルOUT側に設置された流量/流速センサが流速流量情報をコンピューターへ送り、ニードルバルブを自動制御。濃縮が進み、流速が遅くなってくると、ニードルバルブが徐々に解放されます。
- 漏水センサにより漏水を感知した場合、装置は停止します。
- 試料採取が終了すれば、システム入口と出口のボールバルブが閉じるため、サンプルが汚染されません。
- 流量、流速を記録できるので、QA/QCの上で優位です。