ホーム > ニュースリリース > 2022年

2022年 ニュースリリース

 サービス・技術 (日刊水産経済新聞 1面)

7日先まで海況予測/10県で漁船へ情報提供開始/スマート沿岸漁業に効果

記事を読む (381KB)

いであ(株)を実施主体とするスマート沿岸漁業推進事業共同実施機関は15日、7日先までの海況予測情報を九州・日本海の10県漁業者に提供する事業成果を発表した。実際に操業する漁船から集めたデータを利用したことで、沿岸域の予測精度が増している。海況情報はスマートフォン上に表示、漁場の「見える化」が可能になるため、漁業の効率化支援や後継者育成にも役立つ。

天気予報のように漁場の水温・塩分の分布や海流の方向・流速を予測するために、漁船に搭載されている潮流計および貸与される小型水温塩分計(簡易CTD)の計測情報が利用される。九州大学応用力学研究所の広瀬直毅教授の元に自動転送され、スーパーコンピューターによる沿岸海流モデルで、周辺海域の環境を分析・予測する。

沿岸域は海底地形が複雑で、衛星で収集した海面情報だけでは変化をとらえきれない。本事業では水産庁が進めるスマート沿岸漁業推進事業の一環として2017年度に始動。翌18年度から九州北部を中心にデータ収集を始めており、予測結果は情報を提供した漁業者の端末に配信する。メリットを享受できることで、現在は約200隻の沿岸漁業者が参加。データ数の増加により情報の精度が増す好循環を生み出し、7日先の海況予測を可能にした。

これまで勘や経験で判断していた漁場選択は、深度ごとにスマホに表示される潮流の方向や強さ、水温、塩分濃度も参考にして判断できる。参加漁業者から「空振りが少なくなった」と評価を得ている。漁場探索の移動距離を減らし、陸上で出漁の可否も判断ができることで燃油量を削減できるほか、漁具破損の未然防止、後継者育成にも活用されている。

海域予測は現在、情報提供に参加する鹿児島、熊本、長崎、佐賀、福岡、山口、島根、鳥取、石川、富山の10県の漁業者に無料で還元されている。来年度以降について広瀬教授は、水産庁のスマート化推進支援事業を活用しながら参加隻数を増やし、「精度の向上およびエリア拡大を図る」と展望する。また、情報の非提供者でも、年間10万円程度で利用できる環境整備も視野に入れているという。

ページトップへ