ホーム > 技術 > 技術資料 > 土砂動態観測技術

技術資料

土砂動態観測技術

さまざまな観測技術により多様な状況下における
土砂動態を把握し、総合的な土砂管理を支援します。
PDF版 (1,729KB)

山、川、海で構成される流砂系には課題が多くあり、それらは相互に関係しあっているため、流砂系一体とした「総合的な土砂管理」が必要となります。総合的な土砂管理は、PDCA(Plan-Do-Check-Action)サイクルに基づいて順応的に管理することが重要であり、PlanやCheckの段階で必要となるのが土砂移動の実態を把握する「土砂動態観測」です。さまざまなフィールドや流砂形態(ウォッシュロード、浮遊砂、掃流砂)に対応できる当社保有の土砂動態観測技術について紹介します。

流砂系の総合的な土砂管理

流砂系の総合的な土砂管理

土砂動態観測手法の種類

流砂系におけるあらゆるシーンで土砂動態が観測できます。

土砂動態観測手法の種類
  • 【超音波流速計】超音波により流向・流速を連続的に測定する機器
  • 【ADCP】Acoustic Doppler Current Profilerの略、超音波流速計(鉛直多層)
  • 【H-ADCP】Horizontal-Acoustic Doppler Current Profilerの略、超音波流速計(水平多層)
  • 【リバーボート】ADCPを搭載した無人艇、橋上からの操作で洪水中の流量・土砂動態観測が可能
  • 【河床・底面変動計】多数の極小センサを鉛直配置し、河床・底面高さの時系列変化を観測する機器
  • 【水温式】水温計により河川水と底質中の温度差を利用して河床高を計測する機器
  • 【後方散乱光式】後方散乱光センサにより河床高や懸濁物量(濁度)を計測する機器
  • 【音圧測定器】河床面に埋め込み、掃流砂が測定部に衝突する際の音圧から流砂量を計測する機器

超音波流速計(ADCP)を用いた土砂動態観測技術

ADCPによる浮遊土砂モニタリング

  • ADCPによる浮遊土砂モニタリング

超音波流速計(ADCP)は、鉛直多層の流向・流速を連続的に測定できる計測機器です。超音波を出力し水中の懸濁粒子(プランクトンや浮遊土砂等)からの反射波を受信することで波長の変化(ドップラーシフト)を捉え、任意の場所の流速値を推定できます。また、受信した超音波の強さ(反射強度)は浮遊土砂濃度(SS濃度)との相関が高いため、相関解析によりSS濃度のデータ取得が可能となります。

測定された鉛直多層の流向・流速データより、観測点(あるいは観測断面)を通過する流量を算定でき、さらに各層のSS濃度を乗じることで観測点(あるいは観測断面)を通過する浮遊土砂量(SSフラックス)も算定できます。

鉛直多層かつ連続的に各種データを取得できるため、流速やSS濃度に鉛直分布がある場所(港内航路部や河川感潮域等)においても流量とSSフラックスを算出できます。

ADCPを用いた浮遊土砂モニタリングにより、港内の航路断面や河道断面(順流域・感潮域)における土砂移動状況の長期的な把握が可能です。

H-ADCPによる浮遊土砂モニタリング

  • H-ADCPによる浮遊土砂モニタリング

航路部における土砂動態を把握することは航路維持管理のうえで非常に重要です。H-ADCPで取得する音響強度と流速分布データを用いることで、港内航路断面や河道断面などを通過する流量や浮遊土砂量を算出できます。

H-ADCPによる洪水時の土砂動態モニタリング

  • 洪水時の流速平面分布

河川の洪水時には、低水路と高水敷とで水平方向に大きな流速差(流速シア)が生じます。流速シアの発生場所では洪水時に土砂の堆積が進行することが明らかになってきました。H-ADCPでは水平方向に多層に流速を取得することができるため、河道断面における土砂の堆積特性を把握することができます。

河床・底面変動の観測技術

リバーボートによる河床高モニタリング

橋上から操作するリバーボートにADCP、音響測深機、RTK-GPSを搭載したシステムを用いて、洪水時における流速の3次元分布と河床高の横断形状を一定間隔でモニタリングすることが可能です。

リバーボートによる河床高モニタリング

河床・底面変動計による河床高モニタリング

河道は流水によって運ばれる土砂の堆積と洗掘の繰り返しにより形成されます。とくに洪水中には多くの土砂が移動することから、堆積に伴う河川水位上昇によるはん濫や、洗掘による橋梁や護岸等の構造物の安定性の低下が懸念されます。そのため、洪水中の河床高変動を把握し、土砂や河道を適切に管理することが河川の安全確保のうえで重要となります。また、近年では環境への配慮や維持管理予算の制約から河道掘削が困難になっているため、洪水時の河床高変動量を考慮して流下能力を評価することは、さまざまな面でメリットがあります。

当社では水温計や後方散乱光センサを用いた河床・底面変動計により河床高をモニタリングすることが可能です。

●水温計を用いた河床高モニタリング

水温計を取り付けたポールを河床に埋設することで、河川水と底質中の温度差を利用し河床高を計測します。

水河床高変化と経過時間から底質の侵食速度を求めることも可能です。

水温計を用いた河床高モニタリング

●後方散乱光センサを用いた河床高モニタリング(実用新案登録: 第3182056号)

棒状の部材に後方散乱光センサを配置した機器を河床に埋設することで、時間連続的に河床高や懸濁物量( 濁度) を計測します。

各センサの発光部から光を照射し受光部に返ってくる散乱光の強さから埋没状況を判断し、河床高を計測します。

後方散乱光センサを用いた河床高モニタリング

掃流砂量の観測技術

ハイドロフォンによる掃流砂モニタリング

ハイドロフォンは、金属管に粒子が衝突する音を電圧に変換することで通過する掃流土砂を感知する流砂量観測機器です。

掃流砂量と音圧には高い相関関係があるため、電圧の闇値を超えた回数や電圧を測定することで掃流砂量を推定することができます。機器が埋没すると測定が困難になることから、河床変動の影響を受けない砂防ダムや床固工の水通し部に設置します。

後方散乱光センサを用いた河床高モニタリング

業務実績

  • ADCPによる土砂動態モニタリング
    「平成13年度 白川河口部流動調査業務」 国土交通省 国土技術政策総合研究所
  • H-ADCPによる土砂動態モニタリング
    「平成24年度 遠賀川中流河道掘削影響検討業務」 国土交通省 九州地方整備局 遠賀川河川事務所
    「平成23年度 三池港・博多港水域施設保全技術検討調査」 国土交通省 九州地方整備局 博多港湾・空港整備事務所
  • リバーボートを用いた河床高モニタリング
    「平成22年度 流況・流量観測に関する調査業務」 国土交通省 国土技術政策総合研究所
  • 後方散乱光センサーを用いた河床高モニタリング
    「平成25年度 斐伊川河道調査検討業務」 国土交通省 中国地方整備局 出雲河川事務所

論文

  • 超音波流速計による浮遊土砂移動量の推定方法 海岸工学論文集,第49巻,pp.1486-1490,2002
  • 熊本県白川河口域における土砂動態 海岸工学論文集,第49巻,pp.561-565,2002
  • 温度計測に基づく感潮河道の底泥浸食過程に関する研究 水工学論文集,第51巻,pp.877-882,2007
  • 高密度河床モニタリングに基づく底泥堆積過程の考察 土木学会論文集B2(海岸工学)Vol.66,No.1,pp.481-485,2010
  • 周防灘における潮流による再懸濁過程とSSfluxの解析 海の研究(Oceanography in Japan),19(6),pp.263-282,2010

実用新案登録

  • 砂面変動測定装置(登録番号 第3182056号)
ページトップへ