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技術資料

GIS環境解析によるクマタカの営巣可能性評価システム

GIS(地理情報システム)によりクマタカの生息地としての
重要性を広域かつ迅速に評価することが可能です。
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GISを用いた環境解析により、クマタカの営巣可能性を場所ごとに評価するシステムを開発しました。このシステムにより、クマタカの生息地としての重要性を、現地調査を実施することなく、広域にかつ迅速に評価することができます。

クマタカの営巣可能性を評価することの重要性

クマタカは、山岳地帯の森林に幅広く生息する大型の猛禽類です。絶滅の危険性の高い貴重種であるとともに、森林生態系における上位性の視点からの注目種として位置づけられることも多く、森林で計画される事業とクマタカの行動圏が重複している場合には、クマタカへの十分な対応が求められます。

環境影響評価を行ううえでは、事業影響を受けやすく、クマタカの生息にとって重要性の高い「営巣地」および「潜在的な営巣環境の存在する場所」を把握することがきわめて重要になります。

営巣可能性評価システム導入の利点

対象地域におけるクマタカの生息地の把握が求められている場合に、次のようなメリットがあります。

効率的な現地調査が可能

猛禽類の現地調査は、多数の調査員が長い時間を費やして実施することから、多くの予算を必要とします。しかし、このシステムでは、地形および植生のGISデータだけで、迅速に「営巣可能性の高い場所」が抽出できることから、現地調査を行う際にも、どの範囲を重点的に調査すべきかを事前に明らかにし、効率的な現地調査計画が立案できます。

計画段階の事業にも有効に活用可能

広範囲かつ迅速に「クマタカの生息に重要な場所」が抽出できることから、道路や送電線のような長距離の事業でも、効率的に調査を進めることができます。このことから、戦略的環境アセスメントなど、事業計画段階のクマタカに対する事業影響の評価にも適しています。

環境保全措置の検討に有効に活用可能

生息環境の質の向上など、環境保全措置の検討に有効活用できます。クマタカにおいては、地形改善による保全措置は現実的ではありませんが、植生改善による保全措置は可能です。このシステムでは、地形条件からは営巣可能であるにもかかわらず、植生条件から営巣不適地となっている場所(下記の第1~3ステップで営巣環境が存在するものの第4ステップで営巣不適地と評価された場所)を特定し、効果的な保全対策を講じることができます。

営巣可能性評価システムによる解析結果のイメージ

営巣可能性評価システムにより、クマタカの生息に重要な場所(営巣可能な場所)を、面的に抽出できます。この解析に必要なデータは、地形と植生の面的な情報(GISデータ)だけであることから、クマタカの生息情報がない場合でも、迅速に解析できます。

営巣可能性評価システムによる解析結果のイメージ

営巣可能性評価システムの概要

  • クマタカの生息環境
    クマタカの生息環境

「営巣可能性評価システム」は、

  1. 全国で確認されているクマタカの営巣地の環境条件を、GISを用いて解析し、営巣環境に共通する要因(地形・植生)を抽出し、
  2. 抽出された複数の環境要因が、解析対象範囲に存在するかどうか、を以下のフローでチェックするシステムです。
営巣可能性評価システムの解析フロー

業務実績

これまでに、計画段階にある道路事業、砂防事業等に対して、本システムによるクマタカへの影響評価を実施しました。

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